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【林間都市から湘南へ】小田急江ノ島線のダイヤ考察

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この記事では、小田急電鉄・江ノ島線のダイヤ考察を行っています。

〈H29.3.4修正対応〉

路線概要

江ノ島線は、神奈川県相模原市南区《相模大野》から大和市《大和》や藤沢市《藤沢》を経由して《片瀬江ノ島》に至る27.6kmの路線です。

1927年(昭和2年)に旧小田原急行電鉄が小田原線を一気に全線開通させた2年後、《大野信号所(現相模大野)》から《片瀬江ノ島》までの全線が開通しました。しかしながら当時は沿線集落の人口も少なく、小田急線も含めて経営は厳しい状態でした。そこで小田急は当時成功していた旧目黒蒲田電鉄主導で行われた『田園都市計画*1』を参考にし、『林間都市計画』を策定、開業時に名前が決まりかけていた駅名を替え《東林間都市(現:東林間)》《中央林間都市(現:中央林間)》《南林間都市(現:南林間)》として開業しました。が、当時にしては都心からの距離が遠すぎたことから人口も増えず計画も断念され、戦前のうちに『都市』が外された現行の駅名に改称されました。

一方で箱根の開発が大人の事情*2で思うように行かなかったこともあり、戦時を除いて湘南・江ノ島方面への観光輸送は好調に推移し、綱渡りだった業績に少なからず光を与えました。戦後には箱根方面についで有料特急列車も運転し、現在の[特急えのしま]に続いています。

高度経済成長期には都市の郊外化に伴い沿線も発展し、旧林間都市も東急田園都市線が開通したことにより飛躍的な成長を遂げました。2002年(平成14年)からはJR湘南新宿ラインが開業したことで全線に渡って競合することとなり、新種別の設定や増発など意欲的にスピードアップと利便性の向上に努めています。その影響で特急の存在感が年々薄まりつつあります。難しいバランスです。

列車種別と駅情報

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広大な車両基地を有する《相模大野》から小田原線とは立体交差で分岐しています。列車の追い越しは《大和》《長後》で可能です。藤沢駅はスイッチバック構造になっています。*3

種別紹介

・[特急えのしま・ホームウェイ]

[特急えのしま]は小田原線《新宿》から、湘南・江ノ島方面への観光輸送を担っている列車です。全列車がロマンスカー車両で運転されます。なお、《新宿》を18時以降に発車する下り列車は[特急ホームウェイ]となります。

戦後の1951年(昭和51年)に運転された座席指定制の『納涼列車』を起源とし、その後数年に渡って夏期を中心に臨時列車が運転された後、1964年(昭和39年)から[特急えのしま]として定期運転が行われています。しかしながらJR湘南新宿ラインとそれに対抗した下記[快速急行]の運転開始に伴い、所要時間の面で差がほとんどなくなってきたことから運転本数は平日を中心に減少傾向にあります。

途中停車駅は《大和》《藤沢》です。

・[快速急行]

JR湘南新宿ラインの開業に対抗して2002年(平成14年)に運転開始した[湘南急行]を、小田急線内の通過駅を増やすために発展改称した種別です。全列車が小田原線と直通し、ほとんどが《藤沢》折り返しで、終点で片瀬江ノ島方面の[各停]に接続します。

種別カラーはオレンジ色。途中停車駅は《中央林間》《大和》《湘南台》《藤沢》です。

・[急行]

[湘南急行]運転前は主力の優等種別でしたが、上記の通り競合他線の対抗上、ダイヤ改正のたびに本数を減らし、現在では朝夕ラッシュのみの運転となっています。

種別カラーは赤色。途中停車駅は[快速急行]に加えて《南林間》《長後》です。6両編成の列車のみ《藤沢》〜《片瀬江ノ島》間は各駅に停車します。

・[各駅停車]

各駅に停車します。線内折り返しの列車に加え、小田原線に1駅乗り入れた相模原の中心繁華街《町田》まで直通する列車があります。種別カラーは青色

時間帯別ダイヤパターン考察

朝ラッシュ

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 図1.中央林間駅上り朝ラッシュ時刻表

線内折り返しの[各停]と小田原線《町田》まで直通する[各停]と《新宿》まで直通する[急行]または[快速急行]がおおむね1:1:1の割合で運転されています。

朝ラッシュ時における一時間あたりの平均本数は優等停車駅で12本普通停車駅で8.5本です。

デイタイム

f:id:Traindiagram:20170413112711p:plainhttp://www.odakyu.jp/station/fujisawa/timetable_up.html

 図2.藤沢駅上りデイタイム時刻表(休日)

20分サイクルの中で小田原線直通の[快速急行]が1本、相模大野の一駅先《町田》折り返しの[各停]が1本、線内折り返しの[各駅停車]が1本運転されます。*4

また、土休日には1〜2時間に1本の間隔で[特急えのしま]が運転されます。

デイタイム時における一時間あたりの本数は優等停車駅で9+1本普通停車駅で6本です。各区間における1時間あたりの運転本数は以下のとおりです。

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 図3.デイタイム運転パターン/1H

夕ラッシュ 

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 図4.相模大野駅下り夕ラッシュ時刻表(平日)

60分サイクルの中に[特急えのしま]または[特急ホームウェイ]が1本と線内折り返しの[各停]が10分間隔で6本、[急行]または[快速急行]が20〜30分間隔で2〜3本運転されます。

夕ラッシュ時における一時間あたりの本数は優等停車駅で8+1本普通停車駅で6本です。各区間における一時間あたりの運転本数は以下のとおりです。

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 図5.夕ラッシュ運転パターン/1H

まとめ(編集後記)

路線自体をみれば湘南新宿ラインに対して江ノ島線も健闘しているのですが、なにぶんその煽りを食らってロマンスカーは減便の一途を辿っています。なんだか複雑な気持ちです。 

 

ごあんない

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*1:現在の東急線《田園調布》辺り。いわゆる多摩田園都市ではない。

*2:当時の小田急の親会社と箱根登山鉄道の親会社の仲があまり良くなかった。

*3:乗降客数は2015年時点のデータです。

http://www.odakyu.jp/company/business/railways/users/#section-3

*4:平日は町田行が無くなり、線内折り返し[各停]が2本/20分になります。