【夢の跡地に】京王動物園線のダイヤ考察
この記事では、京王電鉄・動物園線のダイヤ考察を行っています。〈H28.9.16改正〉
路線概要
京王動物園線は、東京都日野市の《高幡不動》から《多摩動物公園》を結ぶ2.0kmの路線です。
名前の通り都立多摩動物公園へのアクセスを目的に、1964年(昭和39年)に全線が開通しました。また、同時期に遊園地の多摩テックが開業し、多摩丘陵にあるレジャー施設への観光路線としての役割を担いました。また同線の開業と同時に明星大学日野キャンパスが開学、1978年には中央大学多摩キャンパスが開設され、交通アクセスに乏しかった両キャンパスは若干距離が離れているものの動物園線を利用することになり、盲腸線でありながら平日朝夕には[通勤快速]が、休日には[急行]が京王線《新宿》方面と直通するなどしていました。
しかしながら、2000年(平成12年)に当路線と完全並行する形で多摩都市モノレールが開通。先述の両大学に隣接して《中央大学・明星大学》が開設され、通学利用客の大半が同路線に移行することになり、動物園線の利用客数は激減しました。また、2009年(平成21年)には多摩テックが閉園し、減少に拍車がかかりました。
現在では競馬場線と同じくほとんどの列車が線内完結のワンマン列車によって運転されています。運賃と所要時間に限ればモノレールに対して優位に立てることから、近年の輸送量は安定を見せています。また、2013年には多摩動物公園に隣接して京王れーるランドがリニューアルオープンし、テコ入れが図られています。
列車種別と停車駅
開業時から複線分の用地が確保されているものの、単線のまま現在に至っています。《高幡不動》《多摩動物公園》共にワンマン専用のホームが備えられています。
・急行
京王線《新宿》からの下り列車が休日に1本乗り入れています。上り列車の運転はありません。
・各停
全ての列車が線内折り返しで運転されます。基本的には専用編成による4両編成のワンマン運転が行われますが、運用の関係であきらかにガラガラな10両編成で運転されることもあります。
時間帯別ダイヤパターン考察
朝ラッシュ
無印:多摩動物公園行
図1. 高幡不動駅下り 平日朝ラッシュ時刻表
大学キャンパスのある下り方面への輸送がメインとなっています。おおよそ15分に1本の運転です。
デイタイム
無印:多摩動物公園行
図2. 高幡不動駅下り 平日デイタイム時刻表
平日休日共にワンマン各停が20分間隔で行き交います。平日は夜までこのパターンが続きます。
図3. デイタイム運転パターン/1H
夕ラッシュ
無印:高幡不動行
図4. 多摩動物公園駅上り 休日夕ラッシュ時刻表
動物園からのレジャー客を対象に、5〜15分間隔で1時間に6本運転します。運転間隔のバランスが悪いのは新宿行[急行]が運転されていた名残で、4両ワンマン編成と10両編成が交互に利用されます。
まとめ(編集後記)
動物園線は、動物園や遊園地の開業から衰退までの荒波に飲まれつつ、今に至っています。また完全並行してモノレールができるだとか、都心から大学のキャンパスが移転してきたと思えば都心回帰によって東京都区部に帰ってしまうだとか。多摩ニュータウンへのアクセス路線である相模原線が、当時の多摩川原支線からではなく、当路線から多摩センターに至る構想もあったようです。短いながら夢が膨らんでは消える、不思議な路線です。
〈H28.4.13〉追記
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