【写真あり】トレインホステル北斗星をレビューしてみる!【憧れのブルトレ】
この記事では、2016年12月に東京都中央区にオープンしたトレインホステル北斗星の宿泊体験を、寝台特急に乗った経験のない管理人:籠原いなぎが紹介しています。
〈宿泊日:2017年4月下旬〉
この記事ではダイヤ・時刻表考察を行っていません。こちらが目的の方はトップページに戻りまして、メニューから各路線にお進みください。
※写真数が膨大な量になったため、画質を落としてお送りいたします。なお、最新情報は公式サイトをご覧ください。
そもそも北斗星とは?
北斗星(ほくとせい)は、かつて上野駅 - 札幌駅間を東北本線・いわて銀河鉄道線・青い森鉄道線・津軽海峡線(津軽線・海峡線・江差線)・函館本線・室蘭本線・千歳線を経由して運行していた寝台特別急行列車である。食堂車やロビーカー、個室寝台を連結し、「日本初の豪華寝台特急」ともいわれた。
1988年(昭和63年)に本州と北海道を結ぶ青函トンネルが開通した際に運転を始めた、東京都から北海道まで直通する初の列車です。
一般的にブルートレインといったら、九州方面の富士やはやぶさが主にあげられるのでしょうが、管理人の物心がついたのは毎年のようにブルートレイン廃止のニュースが流れる世代です。そんな中でブルートレインといったら?と幼児向き本などで出てくるのは、決まってブルートレイン最新鋭である北斗星でした。仙台に旅行に行ったときに、通過するのは真夜中であるにも関わらず、父に頼み込んでわざわざ駅まで行って北斗星を見送ったのも懐かしい思い出です。
管理人にとっては憧れの、夢のような寝台特急列車でしたが、1度も乗ることのないまま、2015年(平成27年)に廃止されてしまいました。時代も時代。2017年現在、寝台列車で現役なのは香川県高松市と島根県出雲市に向かうサンライズ瀬戸・出雲のみ、客車列車にいたってはゼロです。
ああ、もう北斗星には泊まれないのか、と思っていた先に飛び込んできたのが2016年9月。北斗星車両24系客車の部品を再利用した簡易ホステルがオープンする予定というニュースが入ってきたのです。
管理人「場所はどこだ?なに、東京だと!?」
こんなことをつぶやいた記憶があります。
当時既に北関東に移住していた管理人。実家は東京。
実家が東京にあるのに、わざわざ東京で1泊するのか……?という謎の葛藤と、管理人自身が多忙を極めていたため、中々訪れる機会がありませんでした。
そして。先日廃止された東武線6050系の浅草運用が期間限定で(9日ぶりに)復活するとのことで、廃止前に行けなかった管理人は撮影に行くことを決心。浅草近辺で手軽に泊まれる場所……東京近辺はどこも高いぞ……と探そうとしたときに、思い出したのが、こちらのトレインホステル北斗星さんでした。当日にスマホで確認したら……空室あり!……ポチッとな!
というわけで、前置きが長すぎました。以下よりトレインホステル北斗星さんのレビュー記事です!
トレインホステル北斗星レビュー
駅に到着!
トレインホステル北斗星。最寄りは総武快速線の《馬喰町》。乗換駅として、都営浅草線の《東日本橋》と都営新宿線の《馬喰横山》も地下通路で繋がっています。
公式サイトを見ると、「馬喰町駅4番出口直結」と書いてあったので、4番出口に向かいます。
よくある地下鉄型の、ビルと一体になっている出入り口です。
さあどこだ、と探すこと1分。
出口と一体となっている、そのビルがトレインホステル北斗星でした。北斗星ヘッドマーク風の看板が光ります。
(最初気づかなくて、隣にあるセブンイレブンまで歩いていたのは内緒)
中に入ってみる
中に入るとすぐ右手にエレベーターと階段、奥に受付があります。
この方向幕風の看板。かっこいい。萌える。
(管理人は趣味で方向幕を収集しているのです→Instagram:方向幕.com)
壁には運行末期に活躍したEF510形風の塗装が。
こちらの待合用の椅子も、食堂車で実際に使用していたもののようです。
受付を済ますと、こんなヘッドマークイラストなカードを渡されました。中に館内の注意事項とか、利用案内が書いてあるものです。
このホステルは7階建て。この案内板のフォントも雰囲気にあってて、いい感じ…!
いざ!宿泊スペースへ突入!
階段を登り、3階へ。
3階と雰囲気を壊さず階を入れるこの感じ。
オハネ25-231は、北斗星が1往復になって以降長らく北斗星の予備車として、黒磯やいわきで乗務員訓練などに使われていたようです。
部屋割りはこんな感じ。
受付で聞いた暗号を入力して、ドアを開けます。
わ!
なんか出てきた!
すげー!
と、テンション上がりまくりの管理人です。
早めの16時前にチェックインしたので、一番奥にて連泊で昼寝してると思われる外国の方が1人いらっしゃる他は、まだ人はいませんでした。なのでパシャパシャ取りまくっています。
今回泊まったのは301の上。
なるほどなるほど……
開いた!(思ったより音がしてびっくりした)
年代物ですものね……
登ってみる。
上から見た景色はこんな感じ。この区画は、開放B寝台客車で使用されていた設備をリノベーションしているようです。
シーツと枕カバーは自分で付けるという、ホステルやゲストハウスによくあるパターン。掛布団敷布団は使わなくてもいいよって受付で言われたけど、敷かないと狭すぎて動けないぞ……?
枕元にはハンガー掛けと、ライトとコンセントがありました。
実車にはコンセントが無かったらしいのですが、このご時世、宿泊施設にコンセントは必須とのことで、設置されています。
暖色なライトに……
蛍光灯!
点くまでのワンテンポが、昔ながらって感じ。っていうか、もしかして中身も実車のままなんでしょうか?
2階の共有スペースを探検
2階のドアを開けて(鍵はかかっていません)、右側にはラウンジが広がっています。
右側の壁には、部屋にあったものと同じく折りたたみの椅子が。
パソコンで作業したり、勉強をしている方々がいらっしゃいました。
自分も特に用は無いのですが、座ってみます。
この椅子やライトも、実際に食堂車で使われていたものです。
メインターゲットは外国の方や長期滞在するようなバックパッカーの方たちのようで、自由に使える共有キッチンがあります、食器から調理器具まで一通り揃っています。
写真左後ろには冷蔵庫や電子レンジもあります。
カウンターの下には自由に食品を置けるスペースが。……持ってかれたりしないのかな?
カウンターには駅ノートならぬ、北斗星ノートがありました。開業5ヶ月で3冊目に突入していました。
なにこの285系めっちゃ上手なんですけど。(思わず写真撮ってしまいました)
サンライズ瀬戸・出雲で使用される、現役で動いている唯一の寝台特急用車両です。死ぬまでに1度は乗ってみたいです。
食堂車の雰囲気であるのかはわかりませんが、ホステルやゲストハウスのラウンジとしては上品でとても良い空間でした。
目の前は普通の道路です。この真下に横須賀線の馬喰町駅があります。
トイレに行ったら、ドアの存在感が凄かった(語彙力)
こちらも実際にA寝台などの個室で使用されていたものです。
シャワーとか洗濯機も完備
6階に上がってみます。シャワー・ランドリーフロアです。
洗濯機と乾燥機があります。有料ですが、長期滞在時には必須です。
シャワーの数は豊富に5つ。男女別にあります。
まあ普通のシャワーブースです。と思ったら……
上についてたこの鏡。これも実際に車両で使われていたもののようです。
個室もあるよ
一番最初に戻りまして、3階入ってすぐの正面には、1部屋個室がありました。
当日は宿泊者がいないとのことで、撮影させていただきました。
ご覧の通り入り口はカーテン。
ここで本物のドアを使えばいいじゃん…!と思ってしまいますが、簡易宿泊施設という扱い上、法律的な関係で鍵付きのドアは付けられないんだそうです。
こ、広角のレンズがほしい…!
椅子、テーブル、ベッドソファはいずれも本物です。
壁には読書灯と鏡、オーディオパネルが設置されています。
夜に聞こえてきた、夢の音。
日も落ちて、夜ご飯を近くにあった日高屋(ラーメン屋)で頂き、時間は既に23時を回るころ。トレインホステル北斗星は23時半消灯なのですが、宿泊ゾーンで騒ぐ人はおらず、しーんとした世界が広がっています。私は比較的早寝をする人なので、ベッドに入って横になりながら、物思いにふけっていました。
まあ実際のところ、ブルートレインの設備を使っているとは言え、基本的には都会の雑居ビルにある普通のホステルなわけで、本物のブルートレインの旅情が体感できるわけでは無いのです。
YouTubeで前面展望動画って検索して出て来るビデオを見るのと、実際にその列車に乗って自分の目で見て、音を聞いて、五感で感じる乗車体験とは全く違うわけで。
視覚に入ってくる'寝台列車'の情報と、物静かな'普通のホステル'の雰囲気のミスマッチが、やはり違和感を感じてしまうのです。
『やっぱり本物の客車の寝台列車に乗ってみたかったなあ……』
そんなことを考えていると、気のせいかガタンガタン…ガタンガタン…という電車の音が聞こえてきたのです。
気のせいかな……?と思いましたがベッドにも、その振動はしっかりと伝わってきます。
その鼓動は聞こえたと思ったら聞こえなくなり、また聞こえたと思ったら遠ざかって、私を心地よい眠りに誘っているようで。
本物の寝台列車はこんな感じなのかなあ、と思いながら、気がついたら私はその流れに身を任せて、眠りについていたのでした……。
図.昔の画像フォルダーを探し漁って唯一出てきた寝台特急の写真。カメラも持ってなかった頃、ガラケーで撮ったと記憶。2009年撮影。
で、実際のところその正体は
このトレインホステル北斗星さんが入っている雑居ビルに面している道路。その道路の中央の地下に《馬喰町》の駅のホームがあり、その両脇の歩道直下、つまりこのビルのほぼ真下に総武快速線の線路が走ってるんだそうです。
いくらホステルとは言え、基本は簡易宿泊施設であり、防音などもそこまで完璧なものではないと。
そう、あの夜に聞こえた電車の音や振動は、総武快速線の電車が地下を走る音だったのです。
なんでも、日中は目の前の道路の騒音・振動が大きいから殆ど感じないのに対して、夜はどうしても聞こえてしまうんだとか。
うおおおい、と朝起きて脱力してしまいました。あの夢を返せ、と。
でも同時に、寝台列車の気分を少しだけ感じられた気がして、ちょっとだけ機嫌の良い管理人なのでした。
ホテルではないので、シーツと枕カバーは自分で1階まで運んで、回収ボックスに投入。チェックアウトはこれで終わり。
若干寝坊してしまった管理人は、急いで東武線《浅草》に向かったのでした。
まとめ
- トレインホステル北斗星は、実際に寝台特急北斗星で使われていた24系客車の部品を使ってリノベーションした簡易宿泊施設である。イメージはホステルやゲストハウス。
- 《東京》から2駅隣のJR横須賀線《馬喰町》が最寄り駅。最寄りどころか出口と一体化している!
- 寝台列車の雰囲気を残しつつ、コンセントやシャワーといった実用設備も備えられている。長期滞在の方向けに洗濯機やキッチンもあるよ。
- これだけ揃って、1泊あたり最安値2,100円〜繁忙期4,100円で泊まれる!(個室は4,000円台後半くらい、お値段と空室情報はトレインホステル北斗星公式サイトで要チェック)
- 夜には、どこからか列車の音と振動によって、寝台列車の気分を感じられる……かもしれない。すべてはあなたの没入感にかかっている。
以上、東京のど真ん中でブルートレインの夢のひとときを味わい大満足の管理人:籠原いなぎがお送りいたしました。本日はご覧いただきありがとうございました♪
※当記事は管理人が宿泊した2017年4月時点での情報です。
ごあんない