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【只今複々線工事中】小田急小田原線の時刻表考察《2017.3.14ダイヤ改正》

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この記事では、小田急電鉄・小田原線のダイヤ考察を行っています。

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小田急小田原線は、東京都新宿区《新宿》から町田市《町田》や厚木市《本厚木》を経由して小田原市《小田原》に至る82.5kmの路線です。

路線概要

 小田急小田原線は1927年(昭和2年)、旧小田原急行電鉄によって《新宿》から《小田原》までが全線複線で一気に開通しました。当時の鉄道はどちらかといえば数kmくらいの少しずつ建設していくスタイルが一般的であったことから、この路線開通は小田急の賭けともいえるようなものでした。その当時はいわゆる昭和恐慌と呼ばれる全国的不況の真っ只中であり、経営は厳しい状態でした。戦中には大東急の中の東急小田原線となり、ここで初めて『小田原線』という呼称が使われました。

 戦後には小田急電鉄の本線格となり、小田原で接続する箱根登山鉄道が小田急の系列会社になったこともあって1950年(昭和25年)には《新宿》から同線の《箱根湯本》まで直通する特急列車の運転を行いました。1957年(昭和32年)には3000形電車「SE車」が登場し、これが現在の特急ロマンスカーの始まりとなりました。1978年(昭和53年)からは《代々木上原》で接続する旧営団地下鉄千代田線との直通運転を開始しました。この時期には沿線の都市化が進み、小田原線の再混雑区間は75年に混雑率229%という首都圏トップクラス(ワースト)の混み具合を記録していました。その抜本的対策として現在《代々木上原》から《向ヶ丘遊園》の間で複々線事業が行われており、2018年春に完成予定です。

 また2002年(平成14年)からは[湘南急行]と[多摩急行]の運転を開始し、それぞれ江ノ島線・多摩線との直通列車が大幅に増加しました。現在は主に[快速急行]や[急行]が同線に直通し、連携を深めています。

路線設備と列車種別

駅一覧

小田急小田原線路線図

小田急線の起点《新宿》は4面3線と3面2線の二層構造を持つ一大ターミナルです。《代々木上原》で東京メトロ千代田線と合流した後、《梅ヶ丘》から《和泉多摩川》まで関東では東武伊勢崎線に次ぐ長さの複々線が続きます。この複々線は先述の通り《代々木上原》から《梅ヶ丘》の間でも行われる予定で、現在も工事が続けられています。《新百合ヶ丘》では多摩線、《相模大野》では江ノ島線とそれぞれ立体で分岐します。《新松田》の新宿方からは単線の連絡線があり、JR御殿場線の《松田》とつながっています。《小田原》からは箱根登山鉄道が続きます。車両基地は《相模大野》《喜多見》《海老名》に隣接しています。

種別紹介

特急はこね・さがみ]

特急ロマンスカーの代名詞です。[はこね]は名前の通り箱根登山鉄道《箱根湯本》まで直通します。[さがみ]は小田急線内のみ、多くが《小田原》止まりとなっています。

特急えのしま]

江ノ島線《片瀬江ノ島》まで直通する列車です。

特急あさぎり]

JR御殿場線《御殿場》まで直通する列車です。かつては旧国鉄に合わせて[特別準急朝霧][連絡急行あさぎり]という種別でしたが、1991年(平成3年)からは[特急あさぎり]となりました。

特急ホームウェイ]

現在各社が運行を始めている、通勤時間帯における座席指定列車の先駆けとも言える[あしがら][さがみ]を引き継ぐ形で登場しました。18時以降に《新宿》を発車する下り列車はすべて[ホームウェイ]となります。

[快速急行]

湘南新宿ラインに対抗すべく、元々は江ノ島線専用だった[湘南急行]を強化し、かつ対小田原競合区間にも投入するために登場した種別です。小田急線内の遠近分離を強化するという副作用もありますが、複々線区間が伸びるとともに本数は増加しています。《新百合ヶ丘》から先は《急行》と同じ停車駅になります。

種別カラーはオレンジ色。途中停車駅は《代々木上原》《下北沢》《新百合ヶ丘》《町田》《相模大野》《海老名》《本厚木》〜《新松田》です。

[急行]

従来からある小田原線の基本優等種別です。[快速急行]が運転されない朝と深夜には主力として運転されます。途中《相模大野》から種別が変わる『化け急』や《新松田》から《小田原》の間各駅停車となる『赤丸急行』といった俗称のある列車もあります。輸送量の少ない《本厚木》から《新松田》までは各駅に停車となり、[快速急行]と共に各駅停車の役割も担っています。

種別カラーは赤色。途中停車駅は[快速急行]に加えて《経堂》《成城学園前》《登戸》《向ヶ丘遊園》です。

[多摩急行]

京王相模原線に対抗すべく、従来[準急]が担ってきた東京メトロ千代田線直通列車を更に速達化し、多摩線直通専用にしたのが当種別です。前ダイヤ改正でその多くが[急行]に置き換えられたことから、現在では朝夕のみの通勤種別として運転しています。

種別カラーはピンク色。途中停車駅は[急行]から《向ヶ丘遊園》を通過としたものになります。

[準急]

従来からある小田原線の準優等種別です。東京メトロ千代田線との直通運転から身を引いたあとは、朝夕のみに数本運転される通勤種別となっています。前ダイヤ改正で千代田線直通列車が数本復活したようです。

種別カラーは緑色。途中停車駅は《登戸》まで[急行]と同じ、以西は各駅に停車します。

[各駅停車]

各駅に停車します。多くが《本厚木》折り返しとなり、前述の通り《新松田》までは急行系に多くの役割を投げ、1日数本のみの運転となります。《新松田》と《小田原》の間はローカル運用が組まれています。種別カラーは青色

時間帯別ダイヤパターン考察

朝ラッシュ

下北沢駅朝ラッシュ時刻表

 図1.朝ラッシュ時刻表一例(下北沢駅上り)

[急行][準急][各駅停車]を中心に運転されます。現行では《代々木上原》と《梅ヶ丘》の間が複線のため、8時台には1時間に28本という超高密度での運転で、急行の続行運転は当たり前という状態になっています。本数は少ないですが一部の[急行][準急]が東京メトロ千代田線に直通しており、複々線完成後はこの直通枠が大幅に増加する予定です。各停車パターン別の本数は、

  • 急行・快速急行……24本(うち4本が千代田線直通)
  • 準急……9本(うち4本が千代田線直通)
  • 各駅停車……17本

となっています。朝ラッシュ時における一時間あたりの平均本数は優等停車駅で26.5本普通停車駅で8.5本です。

デイタイム

下北沢駅デイタイム時刻表

 図2.デイタイム時刻表一例(下北沢駅下り)

一般列車は20分サイクルの中で、

  • [快速急行]小田原行or新松田行 ×1本
  • [急行]小田原行or新松田行 ×1本
  • [快速急行]江ノ島線直通 藤沢行 ×1本
  • [急行]千代田線から多摩線直通 唐木田行 ×1本
  • [各駅停車]本厚木行 ×2本

が運転されます。このほか、有料特急ロマンスカーが、各方面あわせて一時間あたり3本あります。デイタイム時における一時間あたりの最大運転本数は優等停車駅で18+3本、普通停車駅で6本です。各区間における1時間あたりの運転本数は以下のとおりです。

小田急小田原線デイタイム区間別運転本数

 図3.デイタイム運転パターン/1H

夕ラッシュ

下北沢駅夕ラッシュ時刻表

 図4.夕ラッシュ時刻表一例(下北沢駅下り)

完全なパターンダイヤではありませんが、おおまかに分類すると30分サイクルのダイヤが組まれており、詳しく分類すると

  • 本厚木以西まで運転する[快速急行]または[急行] ×3本
  • 相模大野で種別変更する[急行(化け急)] ×1本
  • 江ノ島線に直通する[快速急行]または[急行] ×1本
  • 多摩線に直通する[多摩急行] ×1本
  • 相模大野以東で折り返す[各駅停車] ×2本
  • 本厚木以西で折り返す[各駅停車] ×2本

となっています。またこれとは別に、座席指定特急の[ホームウェイ]が小田原線系統に2本/1H、江ノ島線系統に1本1/Hそれぞれ運転されています。夕ラッシュ時における一時間あたりの最大運転本数は優等停車駅で21+3本、普通停車駅で8本です。各区間における一時間あたりの運転本数は以下のとおりです。

小田急小田原線夕ラッシュ区間別運転本数

 図5.夕ラッシュ運転パターン/1H

 

まとめ

  • デイタイム時にはJR湘南新宿ラインや京王相模原線との対抗上、本路線だけでなく支線である江ノ島線と多摩線からも[快速急行]や[急行]をいずれも20分間隔で運転することによって、スピードアップと遠近分離の政策を取っている。
  • 朝ラッシュ時には小田原線だけで輸送量が限界を迎えてしまうため、各路線からの直通列車は限られている。複々線の完成が待ちわびられている。

 

以上、籠原いなぎがお送りいたしました。次回は小田急電鉄まとめ記事になります。

本日もご覧いただきありがとうございました♪

2017/5/18:ページの軽量化を図りました。

 

ごあんない

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